Dnavi 講義情報 サークル情報 就職ナビ 受験生ナビ 各種特集 用語集
  ホーム > 同志社ナビミニレポート > 同志社ナビ教授インタビュー > 西田毅法学部教授
 同志社ナビミニレポート


 同志社ナビコンテンツ一覧


 同志社ナビについて


s

同志社ナビ教授インタビュー:西田毅法学部教授


西田 毅(にしだ たけし)教授

今回は法学部の西田毅教授にインタビューしました。同志社の法学部で38年間研究を続けていらっしゃいます。

プロフィール

基本情報

  • 1936年大阪生まれ
  • 同志社大学法学部大学院卒
  • 同志社大学法学部政治学科教授
  • 日本政治史・現代日本政治論専門
  • 担当科目

  • 特殊講義 近代日本のナショナリズムと帝国主義・アジア主義 3
  • 特殊講義 戦後日本の政治課題−東京裁判と天皇制の変容− 8
  • 主な著書紹介

  • 『近代日本政治思想史』ナカニシヤ出版
  • 『近代日本のアポリア』光陽書房
  • 連絡先

  • 研究室:光塩館411号室
  • メールアドレス:tnishida@mail.doshisha.ac.jp
  • Q1.研究内容について教えてください。

     私の専門は近代の日本政治思想史です。幕末から明治、大正、昭和にかけて研究しています。人物で言いますと、福沢諭吉、同志社の卒業生である徳富蘇峰、蘇峰と同じ民友社の山路愛山、竹越三叉、それから吉野作造などですね。1月に、日本のナショナリズムと近代化を扱った「近代日本のアポリア」という本を出しました。幕末からの人物と、条約改正、憲法制定、大正デモクラシーなどの出来事を織り交ぜながら書いています。
     90年代に入ってから中国に行く機会が多くて、97年には半年間、北京の日本学研究センターで中国人の大学院生を教えていました。それで今は、日本のナショナリズムの中での近代日本とアジアの関係に興味をもっています。ナショナリズムとアジア主義というのかな。そういうテーマが最近の関心ですね。
     初めて外国に行ったのは70年代で、イギリスです。オックスフォードに3年間程留学していました。ビクトリア時代と明治時代は同じ時代ですから、福沢諭吉にしても、徳富蘇峰にしても、中江兆民にしても、ヨーロッパの思想の影響が強く出ているでしょう。だからイギリスにいた時には、ビクトリア時代と明治時代の比較思想を研究していました。
     政治学をやっていますから、現代の政治にももちろん興味はあるんですよ(笑)以前はテレビに出て政治を論評したりしていました。ただ、現代の政治を論ずるのと思想史とはちょっとやり方が違うんです。思想史は古い時代でしょう。現代の政治は忙しいんですね。テレビや新聞から目が離せない。私の専門は、現代政治と日本政治思想史の両方ですね。

    Q2.学生時代の生活について教えてください。

     私の学生時代というと、1950年後半から60年代ですから、当時は60年安保という日本の政治闘争がありました。日米安全保障条約改正への反対運動が盛り上がっていたんですよ。その頃がちょうど大学院の学生でしたから、政治に対する関心が強かったですね。学生全体がそうでした。同志社はひとつの関西の拠点と言ってもいいでしょうね。非常に政治的関心の強い学生が集まる大学でした。68、69年の大学紛争で同志社は学生によって6ヶ月間封鎖されました。それが、私が専任講師から助教授になる頃かな。学生諸君は元気がありましたよ。今みたいにおとなしくないんですよ。昔の学生は今の学生よりも、公共、社会の問題に対して関心が強くてね。そういう時代が、私の大学院から若い講師の頃でした。
     学生時代に何をしていたかと聞かれると、政治への強い関心はもちろんあったんですが、私はたいへん本が好きなので、政治的実践運動よりもむしろ政治学の勉強をしていましたね。丸山真男の「現代政治の思想と行動」をテキストにして読書会をしていました。それを理解するためにも、マルクスやウェーバー、ヘーゲルをよく読みましたね。50、60年代の日本はマルクス主義の影響が強かったんです。クラブ活動としては、政治学研究会のメンバーとしていろいろな研究会に出て、仲間と一緒に、時には法学部の若い先生に来ていただいて、ウェーバーの本などを読みました。
     海外への興味はもちろんありましてが、その頃は留学するなどということは考えられませんでした。その分、外国の文献に対する興味は非常に強かったです。語学の勉強も兼ねて、英書や独書を辞書を片手に読んだものです。今みたいに海外の情報が沢山入ってこない時代です。人間は勝手なもので、情報が有り余ると自分から積極的に集めようという意欲が沸いてこないんですね。情報が貧困ですとすすんで集めたいという気持ちが出てきます。私も四条の丸善によく行きました。外国の文献を注文しても、3ヶ月から半年かかるんです。それでも注文して、マルクスやウェーバーの本を手に入れて嬉しかったものです。
     私は学生時代、熱烈な恋愛をしたという経験もありませんしね(笑)同立戦の応援にうつつを抜かしたということもありませんし、何をしていたかというとそういうことしかありませんね。スポーツも見るのは好きでしたが、やるのはあまり得意じゃなかったです。むしろ本を読んだり、友達とだべったりしているほうが好きでしたね。今出川校舎西門の向かいの「わびすけ」という喫茶店で一杯のコーヒーで3、4時間ねばっていました。わびすけは議論の好きな学生や先生が集まるところでした。昔は2階もやっていたので、2階の隅で長い時間話をしていましたね。

    Q3.最近の大学についてどう思われますか?

     授業を受ける学生の態度がずいぶん変わりましたね。昔は静かに聞いていましたよ。今みたいに騒々しくなかったです。学生の気風が変わった最大の原因が、大学が大衆化したことにあるでしょうね。現在の大学進学率が約4割なのに対して、昔は1割程度でしたから、大学というのは専門的な教育を受ける場であるという意識が今よりもありました。少々難しくても我慢して聞こうという意識が学生にあったんです。大学の大衆化によって、今、大学院を充実させようという動きが出てきています。学部では教養程度を教えて、より専門的に勉強したい人は大学院に行ってくださいと、文部省もそういう考えですからね。
     だからといって、学部の学生に対する教育をおざなりにしていいとは思わないですよ。特に同志社の場合は、新島襄先生のおっしゃった、リベラルアーツというか一般教養が重要だと思います。一般教養というのは専門科目の土台となるものです。歴史や人間や社会のしくみ、ものの見方を鍛錬する。それが一般教養の目的で、同志社は伝統的にリベラルアーツとしてスタートしたわけですから。それを教え、学生は学んで、プロフェッショナルな専門的な勉強をしなければいけないと思います。

    Q4.同大生へひとことお願いします。

     いくら大学が大衆化したからといって高校とは違います。やはり、高度な専門的な知識を身につける場所だという自覚をまず持ってもらいたいですね。学生諸君に知的ハングリー精神が薄くなったような気がします。20歳前後の一番頭が柔らかくて吸収力の高い時を大学で過ごすわけですから、植物でいう根の部分をつくってほしい。知的・文化的な教養を高めるために大学をもっと利用してやろうという積極性がほしい。また、今の学生は批判精神が乏しいです。これはおかしいんじゃないか、あの人のいっていることは正しいのか、と言葉に対して疑問を持ち、批判する精神が欠けているんじゃないかと思いますね。
     もちろん今の学生の優れているところも沢山あります。我々の学生時分に比べて今の学生は、話がうまくなった、物怖じしない、それから多くの情報を持っている。それらの点が進歩、発展していると思います。しかし、自分が主体的にものを考える力は、情報を集めるだけでは身につきません。断片的な情報をいかに組み合わせて、日本とか世界とか社会全体を考えることのできる力にそれを活用するか。豊かな情報を元にして、これが私の意見です、と自信をもって言えるようになってほしいですね。

    Q5.今後やっていきたいことについて教えてください。

     まず研究者として、自分の日本政治思想史の研究が、富士山でいうとまだ6合目くらいかなという感じがするんですね。学問に頂上はありませんから、完成はできないとは思いますが、せめて自分の納得できるところまで深めたいですね。また、長く同志社にお世話になっているわけですから、同志社大学が今より一歩でも向上、発展するように自分にできることは大いに努力していきたいという気持ちですね。
     それと、学生に対するいい教師になりたいですね。大学の先生というのは研究者であると同時に教育者ですからね。ただ、いい教師とは何かと聞かれたら難しいですね。教育(educate)というのは可能性を引き出すということですからね。意欲をもたない学生にいかにして意欲をもたせるかが難しいですね。
     いい研究者、いい教師、もうひとつはいい社会人かな。私もやはり一市民として京都府に住んでいますから、地域との関わりを考えていきたいですね。私は町の都市計画審議会で20年間仕事をしています。これもひとつの地域への奉仕かなと思っています。日本をよくするというのは大きな問題だから、まずは足元、自分の住んでいる地域からよくしていく努力をしなければいけませんね。
     最後に、私はもっと学生と対話したいと思っています。こちらは話したいと思っているのですから、学生諸君はどんどん話しかけてきてほしいですね。