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同志社ナビ教授インタビュー:亀田尚己商学部教授 1ページ目

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亀田先生

【プロフィール】

亀田 尚己(かめだ なおき)

所属
商学部・商学研究科
略歴
1943年神奈川県横浜市生まれ。1967年日本大学商学部卒業。
1977年日本大学大学院商学研究科博士課程単位取得、音響メーカー会社勤務を経て現職。
専門分野
国際ビジネスコミュニケーション
担当科目
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先生の研究内容とは?

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―――――まずはじめに、先生の研究内容について教えていただけますか?

亀田教授:研究テーマは、「英語による国際ビジネスコミュニケーション」というものです。 私が国際ビジネスと定義しているのは、日本の企業と外国の企業との間で行われる輸出と輸入、すなわち国際商取引が一つ。 もう一つは、日本の企業が海外へ出掛けて行って、そこで工場を作ったり販売会社を作ったりして経営を行うという国際経営。 この二つからなるものを国際ビジネスといい、これに共通しているものは何かというと、人と人との接点ですね。 そこでは当然のことながらコミュニケーションが行われる。 「ビジネスはコミュニケーションの部分集合である(Business is a subset of communication.)」という言葉がある。 多くの人は、コミュニケーションはビジネスの一部じゃないかというけれど、それは違う。 ビジネスはコミュニケーションの一部なんですね。 どういうことかというと、私たちが生きていく限り、空気が必要であるとのと同じように言葉が必要であるということ。 人と人とが言葉を交わして何をしているのかというとコミュニケーションでしょ。 今のように、国境を跨る二つのビジネスの場でコミュニケーションが行われる。 これが、いわゆる私の英語による国際ビジネスコミュニケーションです。

 ではなぜ英語なのかということになるよね。 相手がアメリカ人やイギリス人じゃないのに、なぜ英語を使って、国境を越えて、文化を越えて、 すなわち異文化間でのビジネスコミュニケーションが、英語によって行われているかというところがミソだね。 それは、やはり英語の国際共通商用語としての役割が、大きなものがあるからなんだ。 今、英語のネイティブスピーカー、つまり母語とする人たちの人口はアメリカ人・イギリス人・オーストラリア人などを含めて3億2千万人〜3億8千万人ぐらいと言われている。 しかし、実質的に英語が第一外国語また第二外国語として使われている国の数は75ヶ国ぐらいある。 そして、その総人口は今から11年前で、既に21億になっていたんだね。 その当時の世界人口が63億だから、21億というと3分の1。 すなわち、世界人口の3分の1の人たちは、英語が使われている国々に住んでいるという事実が1つある。 それから、ビジネスの世界で、例えば契約書が何語で書かれているかというと英語。 国際商取引で、ビジネスのE-mailやレターも英語が一番多い。 だから日本人と韓国人との取引も英語。 ベトナム人とシンガポール人との取引も英語。 ドイツ人とフランス人との取引も英語。 というように、英語が世界で商業の共通語になっている現実がある。 だから、私の研究内容がどういうものであるかを一言でいうと、そのような状況において、一体どのような問題が生じているか、なぜその問題は生じるか、どのようにその問題に対処していったらよいのか?ということに関わる研究ということになる。

 国際商取引や経営の場で、日本人と外国人の間で、色々な問題が起きているんだね。 その多くは、コミュニケーションによるもので、"英語"の問題よりも"コミュニケーション"の問題なんだね。 それはなぜかというと、国によって、文化によって、ものの考え方が違うから使われる言葉の意味がまるで違ってしまう。 だから辞書的には同じ意味であっても、文化が違うと、その概念が変わってしまうわけ。 自分とは異なる相手の国や文化圏の人がその言葉に託した意味は、私たち日本人が英語を通して理解する意味とは違うんだ。 そういうことをもう少し厳密に、ビジネスの世界や契約の段階では、法律的には,どんな問題が起きていて、それはどこに原因があり、 その原因がわかったら、今度はそれをどのように解決していったらいいかということを対象に研究する学問。 それが私のいう英語による国際ビジネスコミュニケーションです。

―――――やはり多くの人はコミュニケーションの問題を、英語の運用能力の問題とばかり思いがちですよね?

亀田教授:うーん、そうなんですよねぇ。 それはね、間違いだって授業でしつこいほど、同じことを何回も言うんだけどね。 英語が出来ればコミュニケーションが可能というのは間違いです。 例えば、アリストテレスは2500年前に、「スピーチは二つからしか成っていない。一つは主張すること。二つ目は証明すること」と言っているんだ。 それから、もう一つ"Argument without proof is invalid."(証拠のない議論は無効である)という考えがある。 この二つに同じことは、「主張するならば証明すべし」。 Whatを述べるなら、Why、どうしてそういうことが言えるのかってことを証明しなきゃいけない。 そしてそれをどのようにしていくか、How。 この三つをコミュニケーションでは押さえることが大切なんだね。 このことが出来なければ、どんなに発音が上手であっても、どんなに文法が正しかったとしても、それは人を説得するわけにはいかないな。 そこのところで間違っているのはね、英語が出来れば、アメリカ人のように発音がきれいで、アメリカ人のように英語が書ければ、それで世界の人とコミュニケーション出来ると思っている。 そんなことは大間違い。

 TOEICで860点を取っていても、私の質問に答えられない人が結構いるよ。 さすがに900点以上取っていればそういう人はいない。 だけども、上手く説明出来ない人がいるんだよ。 なぜならば、TOEICは文法とか単語とか、読んだりとかだけで、「書く」・「話す」がないだろ? TOEICの点数を高めるというのは、韓国でも今問題になっているんだ。 TOEICのスコアで920点も取った人を社員で雇ったら、アメリカから電話がかかってきて話せない。 よく聞けないからメモも取れないんだよ。社長がビックリした、という記事が韓国の新聞に出ていた。 韓国も日本も、TOEICの点数を高める技術を教えている学校がいっぱいある。TOEICの点数だけ高めたって、英語の力が上がるわけではない。 さらに、英語の力が上がったとしても、外国の人とコミュニケーションするというのは別問題。

 シンガポールで良い経験をしたんだけどね、私が毎日一人で食事をしていた。 いつも一人だったから、近所の中年の男性がツカツカと私のテーブルへ寄って来てね、何て言ったと思う? "One person come? Your wife don't come?"「一人なの?奥さん来ないの?」って言ったんだよ。 素晴らしいと思わない?これがコミュニケーションだよ。 「お前も大変だな、かわいそうだな、いつも一人じゃん」って。 だから私は「一緒に座らないか?」って言ってね。 一緒に食事してビール飲んで…。 これの方がTOEIC900点より大切だと思わないかい? この文法めちゃくちゃの英語でいいわけだ。 一生懸命TOEICの点数を高めたり、英会話学校に行ったりしても、喋れるようにならないんだよ。 なぜなら、パーフェクトに喋らないといけないという恐れが一つ,それに喋るものがないんだもん。 言いたいことと聞きたいことがあって初めて、コミュニケーションが成立するんだね。 言いたいこと・聞きたいこともない。 きれいな発音、きれいな文法、そんな英語だけの勉強したって人とのコミュニケーションは上手くならないんだよ。

亀田ゼミの活動って?

―――――ゼミについて気になる方もいらっしゃると思うんですが、どのような活動をされているのか詳しくお聞かせ頂けますか?

亀田教授:3年生ゼミは、英語のテキストを使っています。 班に分かれて、担当した章で勉強したことをベースに、自分たちはこういう風に話合って、こういう結論に達したってことをパワーポイントで発表する。 主眼点は、プレゼンテーションが上手になること。 最初にプレゼンテーションの仕方、それはビデオも見せるし、私がモデルプレゼンテーションもする。 例えば手の動きを加える、絶対に聴衆にお尻を見せてはいけない、出来る限り紙を持たない、とかね。 去年は4年生からだったけど、今年は3年生でも最初から英語でプレゼンテーション。 それが終わると、学生たちの間で質疑応答。今年の3年生は大変幸せなことに、アメリカ人のTAがいる。 質疑応答が終わると、まず私からコメント。 必ず最初褒めるんだけどね。 人間って面白いもので、A班が褒められたら、B班も褒められたいと思う。 人情なんだよ。必ず褒める。もう褒めるに徹してる。 だって褒められて悪い気のする人いないもんなぁ。それは大切だと思う。 その代わり宿題関係は厳しいけどね。 次にTAが英語の問題について、ここはこういう風にした方がいいとかね、一人一人ジャッジーペーパーを全部付けてくれるんだね。

 僕のゼミにいると、パワーポイントの作り方について細かいとこまでコメントするし、それで1年間やるから、4年生になるとプレゼンテーションは上手だしねぇ、パワーポイントの作り方も本当に上手。 それを全部英語でやるんだから、亀ゼミ生は大変だよ。 本当に3日も4日も寝ないでね、徹夜してでも作るんだもん。 本当に忙しい。忙しいけれども、1週間も2週間も班の中で激論戦わせるわけだ。 するとどうなるかって、本当に仲が良くなるんだよ。 班の中で喧嘩もするでしょう。喧嘩すればするほど、雨降って地固まるってわけじゃないけど、すごく仲良くなる。 だから周りからも亀ゼミは本当に仲が良いって言われるよ。 飲み会も多いしね。

 今はありがたいことに、商学部のゼミの定員は22名なんだね。 昔は40名ぐらいいたんだけどね。でも私は40名でも、第1回目のコンパで必ず全員の名前を覚えていく。 大変なんだよ。たまに写真と顔が全然違う学生がいるじゃん(笑)。 でも,一人ひとり名前で呼んであげるとすごい喜ぶんだよね。 大学生になって名前呼ばれたの初めてだってね。 どんなことしてでも覚えていく。今は楽なんだよ、22名ぐらいだから。すぐ覚えられる。 苗字じゃなくてね、下の名前とかあだ名だな。やっぱり名前を覚えることから愛情が生まれるじゃない?

先生の学生時代について

―――――では、先生の学生時代についてお聞きしたいと思います。どのような学生でしたか?また、夢中になっていたもの、クラブ・サークル活動などは?

亀田教授:1年生の時は、割合普通の学生。 実家が酒屋だったから、必ず手伝いをしていた。 勉強も割合よくしていた。 大学生はしていたし、友達も出来たし。 2年生になったら、授業も大教室になったりして、なんかつまんないなぁって…。 そこからね、「英語研究会」に入ったんだ。 それまでにはね、家の近所にあった修道院の英会話教室に通っていた。 それもあって大学2年のときから英語研究会に入りました。 それから英語漬けの大学生活が始まったんだ。

 春に英語弁論大会があって、初めて出場したら3位だった。 ところが、夜のレセプションでジャッジの人たちが「何であの男の子は1位じゃないんだ?」って騒ぎ出した。 ジャッジの手伝いをしていた学生たちが、本当は6という数字を4と勘違いして計算していたんだね。 これがきっかけ。本当に悔しくてワンワン泣いた。 それから卒業までに7本のスピーチを作って、合計27回英語弁論大会に出た。 大抵優勝か準優勝だった。 それは、やっぱり第1回目の悔しさがあったからだね。 大学生時代に何をしたかというと、完全に英語漬けだった。 英語スピーチと英語ディベート。我が青春でしたね。

―――――先生もこの同志社におけるクラブ・サークル活動について見聞きすることがあると思うんですが、昔と大きな違いはありますか?また、学生のクラブ・サークルに求めるものはありますか?

亀田教授:課外活動はね、僕は大賛成なんです。 一生懸命やるべきだと思います。 ただ大学へ出てきて、先生の言うことをノートに取って、受身で大人しく授業聞いているだけが、大学教育だとは思わないんです。 同志社のように、他学部の講義も受講できるという総合大学であるメリットを大いに活かして欲しいというのが僕の主義・主張です。 その延長線上にあるのが、課外活動であるように思えるんだね。 志を同じくする人たちの集まりが、目標に向かって一生懸命協力し合う。 それぞれ違う人たちが違う能力を持っている。 それらの個性を結集したものが、サークルの力になると思う。 それを世間がどう評価するか?それを自分たちが知ることも重要だと思う。 己を知るために。 そのためには、対外試合などにはどんどん出るべきであると思う。

 なぜ大学生の時にそれが必要か?みんな4年生の90数%が就職する。 就職するということは、一つの組織が出来上がっているところに、自分が一員として入るということだ。 組織の一員として入った以上、組織の一員としての役割、求められているものは何か?自分が何をすることによってその組織全体の価値がいかに高まるか?これが企業社会なんだ。 それを大学時代に、サークルならサークルという一つの組織の中で、それぞれ個人個人の役割を体験しておくこと。 ただ知識で知っておくのではなく、肌で知っていること。 これは大いに価値のあることだと私は信じているんだね。 それは何も体育会だけではない。 いわゆる文化系のサークルにおいても同じだ。 課外活動は全員がやるべきだと思うよ。 入らないのはもったいないと思うよ。 アルバイトもやる、課外活動もやる、そして勉強もやる、そのくらい根性が必要だね。